「base LOOM」

用途:カフェ Sound & Coffee
所在:栃木県足利市

足利学校から徒歩1分、石畳が続く景観重点地区に建つ、白壁の蔵造りを活かしたカフェへのコンバージョン計画です。
かつて物販店舗として使われていた建物を、街の歴史と現代の体験が交差する場所として再生しました。

外観は歴史あるまち並みに寄り添う蔵の意匠をそのまま残し、内部では“音と空間が織り重なる”というオーナーの想いを形にしています。
1階は、街を散策する人が気軽に立ち寄れる開放的なカフェスペース。石畳の軸線とつながる視線の抜けや、素地のままの質感を残した内装により、外と中がゆるやかに連続する場としました。

2階は自然音を用いた立体音響のサラウンド空間。吸音・反射のバランスを調整し、音に包まれるような独特の“密度”を設計しています。
階段を上がるにつれ、街の喧騒から静寂へと移ろう空間のグラデーションが、訪れる人に穏やかなリズムを生み出します。

歴史的環境と現代的体験をつなぎ、人の日常に心地よい余白をつくる。
この場所が、足利のまちを歩く楽しみの一部になることを願っています。

施工:株式会社 フクダ